【南越鉱山】黒俣川上流の橋。写真提供 鈴木篤

 

・125ページあたり(地図なし)

【荒船鉱山】 大岩壁で名高い荒船山(1123m)周辺は鉱山が多い。有名なのは市野萱北方の西ノ牧鉱山だが、荒船山近いのは(毛無岩西方)の荒船鉱山だ。草加さんの「フィールドガイド」に目にもあやな鶏冠石が産出したことが載っている。登山道のちょっと下にテントサイト跡のような平坦地を見つけて掘り返した。1mmほどの鶏冠石がぽつりと付着したものが採集できた。とてもみごととは言えないものだ。もう少し探索範囲を広げるか、深く掘ると良品に出会えるかもしれない。最近(2014年)荒船山の水晶が販売されている。荒船鉱山探索の際に荒船山山頂方向の登山道脇で石英を拾ったことがあった。山頂付近に水晶の産地があるのだろう。

 

・44ページに「ろうと」が出てくるが青森の緑山人さんから指摘があり鉱山関係者では「じょうご」と呼ばれていてこちらが普通のようだ。

 

・105ページ(地図に載ってない)

【土湯鉱山】 土湯温泉の西4.5kmの荒川上流にある。変朽安山岩に入った石英脈にある低品位の金を掘った。高山(1804m)から下山の際に立ち寄るには離れすぎている。土湯から歩いてゆくしかなさそう。こういう場所こそ山師の出番だ。メノウ、沸石、紫石英などを探してみたい。

・128ページ(八総鉱山の後半部)

 鉱床は大きく分けて中山峠トンネルの西側にある木戸鉱床とトンネル南側にある赤倉鉱床に分かれている。口絵の排水処理池は木戸鉱床のものだ。赤倉鉱床は荒海山の北にある1249.6mピークの北西側にあり大量のズリが残されている。

・135ページ(大井沢鉱山の下)

【今市鉱山】小百川の上流で大井沢鉱山よりさらに上流部。小休戸の対岸。送電線の西側で1289.2mのピークの東側。花こう岩中の輝水鉛鉱を軍の要請で終戦まで採掘した

・144ページ

 甲武信岳北方の三宝山(2483m)はその名が示すように鉱山があった。詳細は不明だが、スカルンで磁鉄鉱の採掘をしたようだ。

 

・124ページ【細芝沢】日本登山体系に鉱山跡があることが記されている。水上町誌にも記述がないので見落としてしまった。鉱山跡の位置は細芝沢の二俣下方の左岸。谷川温泉から二俣までは登山道がある。そこから鉱山跡までは2時間くらいだろう。何とか日帰り圏内だが、じっくり探索となると二俣でテント泊したほうがいいだろう。何を採掘したのかもわかないが、周辺に多い銅、鉛亜鉛の試掘跡だと推測している。もし、沢登り目的で訪問したならまず、ぴかぴかの石がないか注意する、次に鮮やかな緑色の皮膜状のものを探す、特にガサガサのサビの塊みたいなものにそういう緑や白が噴き出しているようなものがいい。あとは、見た目の変わった不気味なものを探す。

 

・138ページ【簾川鉱山】(追加)隣の犬麦谷にもマンガンの試掘跡があるという。タツマの滝の氷柱登攀を目指す人もいると思うが、黒くて重い角張った岩に気づいたらハンマーで割ってみてもらいたい。

・164ページ【上高地】菫青石の露頭は横尾付近と思われる。横尾から槍沢ロッジにかけて河原を探索するとさらに範囲を絞り込めると思う。横尾では隙間の多い流紋岩にも出会った。水晶やメノウに出合えるかもしれない。

 

「日本地方鉱床誌 関東地方」を入手した。いくつかの訂正と追加。

124ページ

【赤谷鉱山】「上越線後閑駅の西北方10km。湯ノ場、相俣を経て赤谷まで15km、さらに12kmに位置する。」とある。解釈が必要な記述と思う。流紋岩中の2つ鉱脈(南北の走行)脈幅は0.1~0.6m。延長60m。黄銅鉱、閃亜鉛鉱、黄鉄鉱からなる石英脈。

127ページ

【三斗小屋鉱山】登山者に人気のある三斗小屋も鉱山跡だ。温泉も採掘に伴って出たものなのだろうか。温泉宿と鉱山の位置関係は不明。流紋岩中に入る鉱脈を採掘した。脈幅は平均3m、延長は短い。鉱石は黄銅鉱、黄鉄鉱、石英。

135ページ 

【第一塩原鉱山】中塩原赤沢谷にあり、塩原町中塩原北東1.5kmに位置する。流紋岩に入る石英脈の中の方鉛鉱、閃亜鉛鉱、黄鉄鉱を採掘した。

【第三塩原鉱山】中塩原シラン沢にあり、塩原町中塩原の北西約2kmに位置する。小規模な石灰岩に伴う一種のスカルン型鉱床。緑簾石、灰鉄輝石、柘榴石などのスカルン鉱物に入る閃亜鉛鉱、方鉛鉱を採掘した。鉱体は10個発見されたという。

「鉱物採集フィールドガイド」追加版から

149ページ

 【茂来山】霧久保沢の奥にある大日向鉄山はスカルンで強力な磁力を持つ磁鉄鉱を産出したことで名高い。黄鉄鉱、黄銅鉱、磁硫鉄鉱、灰鉄輝石などが採集できた。霧久保沢をさらに詰めるると茂来山の登山口になる。途中に硅石の堀場がある(浅間鉱山)。ここで水晶がとれたこともある。また、茂来山の西側の稜線付近にかつて正長石、煙水晶を産したというガレがあったと言われている。茂来山南壁に水晶坑の跡があるという。また、石堂の乙女滝近くには大日鉱山があった。(この付近は変更なし) 緑色は素晴らしい。

 このほかに都沢を入口から900m入って出会う枝沢を西へ上ったところに都沢(名王)鉱山があった。(この部分以降も変更なし)

125ページ付近 【荒船山】の項の次

【妙義山】交通の便も良く岩場のスリルも味わえる名山。火山の内部岩体が風化によって奇岩・怪石を生み出した。妙義山スーパー林道は廃道になってしまったが、草下さんは3つの沸石産地を報告している。

・下仁田町四家の料金所跡の先300m左。束沸石の見事なものがあったが、その後崩壊してわからなくなってしまった。

・県道51号の杉の木峠そばの採石場で濁沸石、モルデン沸石、ソーダ沸石、ドロマイト、ガイロル石などを採集してる。なかでもソーダ沸石の群晶はみごとであったという。しかし、ここも採石が深部に進むにつれ沸石等は見られなくなったという。

・妙義町の料金徴収所(位置?)から1.5kmの右側切り崩しでモルデン沸石の毛状脈があった。そこよりさらに3km進んだ下仁田区域に入り込んだところにも見事なモルデン沸石の毛状結晶を発見している。

妙義山の登山の際に崩落地点に出会ったら崖や転石に入る白い脈に注意してもらいたい。そして脈の膨らんだ部分を探してできるだけ大きな結晶をそっと新聞紙包んで持ち帰ってもらいたい。ルーペで丁寧に観察すると面白いと思う。

 

47ページ

 「丹生という地名の丹は赤色という意味で辰砂が産出した場所に付けられていることが多い。」というような書き方がいい。松原先生の「鉱物ハンティングガイド」から引用

 

地域地質研究報告 新潟(7)64号 八海山地域の地質 茅原一也・小松正幸 平成4年地質調査所から

116ページ

【大倉鉱山】八海山や駒ケ岳の登山口の水無川に鉱山があった。露天掘りの跡もある。鉱物マニアではゲルスドルフ鉱の結晶が有名。訪問者も多い。ここは大倉第3鉱床のようだ。1946年頃活動した鉱山で、マス沢を中心とする中央鉱床、大倉鉱床(第1~7)その対岸の滝ノ沢に(第8、9)鉱床があり銅を採掘した。黄銅鉱や磁硫鉄鉱が主だった。

【佐梨川上流】12行目までは変更なしここは大湯鉱床といって山向こうの大倉鉱山と似た鉱石を採掘した。写真にある坑口は眞山1号鉱床のようだ。黄銅鉱、磁硫鉄鉱が主鉱石で下盤に閃亜鉛鉱脈を伴うという。1945年頃活動した。桑の木沢の東の鉱山道尾根の名称は新吾鉱床といって粘板岩中の黄銅鉱や磁硫鉄鉱を採掘した坑口があったことによる。

 125ページ

剣ヶ倉山北斜面に花こう岩中に輝水鉛鉱の小規模露頭があるといわれている。沢登りの人たちは頭に入れておいて頂きたい。

関東鉱物同好会会誌「水晶」No.147 2013.3 不毛シリーズその16 西井裕一 より

173ページ

【福トチ沢】中央アルプスの越百山(2013m)から伊那川ダム、野尻方面に下山したときに林道にでて最初に橋で渡るのが福トチ沢だ。かつてモリブデンの鉱区が設定されていたようだ。標高1350m付近。西井さんの探査では黄鉄鉱、閃亜鉛鉱、硫砒鉄鉱、苦灰石、方解石、灰重石が確認されている。沢の転石のみの観察なので、下山口近くの登山道脇を見てもらいたい。山腹に石垣、作業道、赤茶色の岩などの兆候が見つかれば面白い。

162ページ

 【平湯鉱山】ウェストンの「日本アルプスの登山と探検」に平湯からの乗鞍岳登山の際に乗鞍銀山が出てくる。これは現在、平湯鉱山とされている場所と思われる。十石山の西、標高2000m付近。現在は登山道から外れてしまった。余裕があれば探索したい。銀よりも鉛、亜鉛、銅の鉱石に出合う可能性が高い。

163ページ  

 【笠ヶ岳鉱山】2016年10月にLimeさんが訪問した記録が公開された。http://limejuice.jugem.jp/?day=20161017 天空の鉱山へという魅力的なテーマで後編には鉱山位置図や水晶ズリの存在が示されている。

 

  

90ページ 【石黒の鉄電気石】坑口の写真追加。この上10mのところに石英と長石の露頭がある。

 

知玄社